太陽には届かない
『おう、陽菜!アレ、ウチの新入社員の有田な。今回は俺の補佐やってもらう事になってんの。補佐がつくなんてさぁ~、俺も出世したろ?』


『吉田ぁ…』

陽菜は苦笑いで応じる。

システム管理会社の吉田と陽菜とは、高校時代の同級生だ。



陽菜が入社して間もなく、取引先の担当者として再会した時は、お互いに笑った。

高校卒業後に就職した吉田は、今やプロジェクトチームのサブチーフだそうだ。


『何お前、今回のシステム変更に参加すんの?』


『参加って言うより…現場のご意見番って感じかなぁ』


『マジで?!それ、お前が担当?』


吉田は大げさに目を丸くして見せた。


『うん……』


『じゃあ、良平をよろしくな。アイツ今回の連絡係だからよ。』


『…りょうへー??』


ポカンと開いた口が塞がらない。


『そうそう。アイツ、有田良平っつーの。今回は現場とシステム担当者の俺様の橋渡し役。…つっても、新入社員だから打ち合わせなんかの記録係みたいなもんかな。ま、お手柔らかに頼むよ』


そう言って軽くデコピンをすると、後ろ手を降って、自分のテーブルに向かった。
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