太陽には届かない

『おまえさぁ…林さんに彼氏いるって言ったよな?』


何の前触れもなく、吉田が急に口を開く。


『うん、言ったよー。何で?』


『林さんの彼氏ってどんな人?』


『えっ?何で急にそんな事聞くの?普通の人でしょ。よく知らないけど。』


吉田が不機嫌そうな顔をしながら続ける。


『言っていいのか分からないんだけどさぁ…林さんと良平、おかしくないか?』


その言葉に陽菜はドキッとし、動揺する。


『…おかしいって…?』


声が上ずっているのが自分でも分かる。何故だろう、嫌な予感がする。


『こないだの飲み会…お前は参加してなかったんだけどさ…良平が林さんをお持ち帰りしたんだよな…つっても、送ってったってだけなんだけど…』


『どういうこと?!』


『いやー、林さんものすごい酔っててさ。あの人あんま飲めねぇじゃん。なのにあの日は結構飲んでて。自分の車の中で休んでたんだよ。その日はオレの車と林さんの車で飲みに行ったんだけど。』


陽菜の心臓はどんどん早くなる。


『で、最終的には良平も酔いつぶれてさ。二人で林さんの車の中で寝てたんだよ。でもさー、普通は背中を向け合って寝るだろ?なのにあいつら、向かい合って寝てたんだよ。おかしくねぇ?』


吉田のその言葉に、陽菜は絶句するしかなかった。

林カオリと良平…。不釣合いと言ったら失礼だけれど、想像できない。何かの間違いではないか。


『それで?』


『あぁ、何かしばらく休んだら良平が復活してさ。結局林さんの車で、良平が連れて帰ったんだよな。だけど、車は1台しかないんだから、どっちかの家に行くしかないだろ?』


想像できない。したくない。けれど、吉田は陽菜に嘘をついたことはない。
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