太陽には届かない
吉田の車は、海に向かっているようだった。

陽菜は良平の話以降、すっかり黙り込んでしまい、吉田はそれに困惑しているようにも見えた。陽菜はそんな吉田が少し可哀想になり、話を始める。


『ねぇ、話は変わるんだけどさ…』


陽菜の一言で、吉田の表情が少しやわらかくなる。


『由梨はどう?何かお似合いな感じがするんだけど。』


『何だよオマエ、藪から棒に。』


『いやぁ~、何か似てる気がするんだよねー、あんた達。』


『似てるからって、うまくいくとは限らないだろ。』


『まぁ…そうだけどさ。』


そして再び吉田は思わぬ言葉を口にした。


『笠井は男ともめてるみたいだな。良平が相談されたらしい。』


一体何でこんなに良平の話につながるのか。陽菜には理解できない。


『えっ?何で??何で有田くんが出てくるわけ?』


『何でってオマエが笠井の話するからだろ。』


『私は別に…由梨と吉田がお似合いかなって思ったから…』


『残念でした、当の笠井本人が男ともめてんだから、しょうがないだろ。オレにはその気がないんだし。』


いつもこうだ。吉田だって、カオリと同じ。自分のことはあまり語らない。

陽菜は思い切って、吉田に問いただす。
< 72 / 94 >

この作品をシェア

pagetop