太陽には届かない
『だからさぁ…何つっていいか分からないけど、俺はオマエを大事な友達だと思ってるよ。かなり。』


『だから元気出せって事?』


いたずらに笑って、吉田の顔を覗き込むと、真っ赤な顔をして照れている。


『吉田…アンタ、本当にいいヤツだよ!』


陽菜は吉田の肩をポンポンと叩くと、その腕を掴んで、海へと走り出した。


『ちょっと!陽菜!』


吉田の力で本気で抵抗されたら、絶対にかなわない。それでも陽菜に付き合ってくれる吉田を、心から頼もしいと思った。

吉田を道連れにして、洋服のまま海へと入る。

濡れた砂に足を取られて、陽菜が転ぶと、吉田もそれにつられて転んだ。

言わずもがな、二人はびしょぬれだ。


『あははははは!』


びしょぬれの吉田を見て、陽菜が笑うと、吉田はつられて笑いながら、砂まみれの手で陽菜の頭を叩いた。


『オマエー!!どうすんだよ、こんなにびしょぬれになって!着替えも何も持ってないんだぞ!』


『たまにはいいじゃーん、青春って感じで!』


陽菜はそのままどんどん沖の方へ歩く。


『おい!陽菜!オマエあんまりそっちに行くなよ!』


吉田の制止も聞かず、陽菜はどんどん深くへ向かう。

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