太陽には届かない

午後は丸1日、打合せでつぶれ、定時を大分過ぎた頃に由梨が部屋へと入ってきた。


『お疲れ様でーす』


陽菜は由梨と約束していた事を思い出す。


『お疲れ！ごめん、由梨。もう終わるから。』


『大丈夫ですよ、私、化粧直ししてたんでー。』


その会話を聞いて、吉田は陽菜に予定があることを察知してくれたらしい。


『陽菜、今日はもう終わりにしようぜ。』


そう言うと席を立つ。


『アリガト、吉田。恩に着るわ。』


陽菜はそそくさと席を立つと、“お先です！”と声をかけ、部屋を出る。由梨が慌てて後からついてくる。


『陽菜さん、大丈夫ですかぁ？』


『大丈夫、あとは吉田に任せておけば。ああ見えて結構頼りがいあるんだよ、アイツは。』


『あー、ほらぁ。陽菜さんは吉田さんに関しては採点甘いんですよねぇ～…』


口を尖らせながらロッカールームへと入っていく。陽菜もそれに続く。由梨は相変わらず陽菜と吉田をくっつけたいらしい。