太陽には届かない
陽菜は正直、半信半疑だった。そして、カオリのことも頭を掠める。酔いも手伝い、陽菜は良平とカオリとを疑っていると告げた。由梨は即座に“それはない!”と否定し、また笑った。

頭がフラフラしている。あまり酒には強くない陽菜だったが、限界であるカクテル5杯を超え、自分が何を言っているのかだんだん分からなくなるほど酔っていた。

由梨もそれは同じなようだった。由梨の携帯電話が何度も鳴る。きっとさっき話に出た彼氏からだろう。陽菜は5回目にかかってきた時、その携帯をわしづかみにし、通話ボタンを押すと、


『あたしは由梨の上司です!上司と部下が、真剣に話してんだよ!何度もしつこくかけてくんな!』


と怒鳴っていた。

由梨は一瞬驚きながらも、笑い転げ、陽菜も一緒に笑い転げた。


『あー、すっきりしたぁ~!!』


由梨はさも自分がしてやったように、笑っていた。


『私も~、陽菜さんのこと応援します~!』


由梨にそう言われても、陽菜の心は晴れない。朦朧とする意識の隅で思う。

由梨と良平は一体何なのか、カオリとはどうなっているのか。

カクテルのせいだけじゃない、胸の鼓動が大きくなる。

気がつくと陽菜は、着の身着のまま、自分のベットで寝ており、外はすっかり朝になっていた。
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