東京+ラブクラフト
「 いらっしゃい ハルト君 ルウちゃん
ご注文のケーキ、出来てるよ 」
――― "隠れ家的な店"ってヤツなのかな
鈴の音
ドアが閉まる
打ちっぱなしの壁に
傘のついた、天井から下がったランプと
畳一枚くらいの、小さなショーケース
キレイなケーキが並んでて
ルウちゃんは、瞳を輝かせて
しゃがみながら 覗き込んでる
「 こんばんは 遠山さん 」
ハルトさんがお辞儀
私も一緒に、オジギ
すぐに奥から
かなり大きめな箱が二つ
丁寧に運ばれて来て
黒に金文字のビニールバックの中に
そっと入れられて行く
「 ありがとう 毎度ね 」
ハルトさんはそれを受け取り
ルウちゃんが動くのを待ち
後に続いた
「 あ
――― ルウちゃん ちょっと待って 」
店の人に引き留められて
碧い瞳が不思議そうに、クルリと振り返る