東京+ラブクラフト
シンとしてたビルから出て
一気に襲って来た、ネオンと靴音
そして楽しそうな、たくさんの笑い声
一瞬目が見えなくなって
横から消えた、小さな気配を探す
――― 出て来たビルの隣
すぐに、その姿は見つかった
そこにはウナギ屋さんの生け簀
水槽があって
青白い光を顔に反射させながら
ジーッとルウちゃんは 中を覗き込んでる
「 ――― 少し、電話します 」
「 あ はい! 」
ハルトさんはコートの内ポケから
銀の薄いケータイを取り出した
… 最新のヤツだ うらやましい
付き合いでプロフ始めたけど
すぐに面倒くさくてやらなくなったし
だけど動画サイト見る時とか
今のヤツ、あんまり使えないんだよね…
―― ハルトさんが少し、向こうをむいた
あ、ちょっと離れた方がいっか…
そう思いながら急いで
私はルウちゃんの横へ歩いて行く
「 おねえさん
さっきいたのに、ウナギいないよ 」
「 え? 」