東京+ラブクラフト
柔らかく運んだ目線で
すぐに誰かは分かったけど
一瞬で眉を歪めて、そこへ走る
「 ――… ルウ どうした? 」
見ると、ルウちゃんのスカートは
どこかで転んだのか
かなり 泥で汚れている
私も慌てて走った
「 ルウちゃん!どうしたの?!
服、泥だらけだよ?! 」
「 …あっ! ご、ごめんなさ… 」
「 服の事は洗えばいい
…… なぜ そんな顔してる? 」
ルウちゃんは
碧い瞳を泳がせた後
ポケットの中からおずおずと
何かを握って差し出した
小さな手の平を拡げると
カサリと音、そして 甘い香り ――――
「 …キャンディー? 」