東京+ラブクラフト








ハルトさんを振り返ろうとして
手が、止まる ――――





机の上には
型紙や書類みたいなのも
少し拡げてあって

… 手で押し付けたみたいなシワ
そこに一個だけ
イヤリングが 落ちてる







「 ごめんね

コーヒーしか無いけど 」



「 ―――…!!

あ… ありがとうございます! 」





テーブルの上に
キレイな音を鳴らしながら
アイスコーヒーが運ばれ



私は、急いでテディベアを置いて
ハルトさんの前の、高椅子に座った







「――…作り溜めて
毎年知り合いの子供達に渡してる



ここは あまり日が当たらないし
布が焼けないで済むから
少し長い間 篭っていたんだけど


もう、用が済んだからね
明日にも 越す予定だよ 」





用…



「 ――… え… どこへ…?! 」



「 まだ、決めてない 」







ハルトさんがグラスを持って
私の顔を見る


「 ……っ
そ、そういえば!あのルウちゃん人形
どうしたんですか?!

あの劇団のヒト達が
持って行ったの見ましたけど ―――― 」





「 どうした  って…

今日、歌ってたじゃない
電光パネルの中で… 」





「 ―――……え 」








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