東京+ラブクラフト
―――… 彼の顔を見ての、私の第一声
「 … あの、ここって セットとか
どっかの、撮影スタジオとか…? 」
また彼が 声をあげて笑う
「 いいえ?
普通に新宿にある、街の一画だよ
―――… 再開発で打ち捨てられて
買い手も付かずに廃墟化した
だけど私有地が大部分だから
誰も勝手に手を出せない
もしかしたら、こんな場所あるのも
知らない人間の方が、多いんじゃないかな
最初は
街のコドモ達 ―――
それから難民や、ホームレス
その他色々な人間が
コミュニティを作り初めて
小さな街みたいになっただけ
ここはまだ入口
キミ、立ってるの辛そうだったから 」
肩まで伸びた、白い髪
ニコリと笑う、三日月みたいな目と唇
中性的っていうか
だけど弱々しい感じでもなくて
むしろ、逆だ ―――
しっかり、周囲を認識というか
自分の状況、わかる様になったのは
そんな二人に しばらく見とれてからだった