東京+ラブクラフト
そんな居住区っぽい場所を抜けると
周囲が急に、薄暗くなる
―――― 風で ギシギシと鳴る看板
ほとんどが割れてて
そこに何があったのかはわからない
誘導されるままに
後をついて行く
―――― 次に入ったのはビルの中
一階の窓ガラスは、キレイに全部無くて
多分元は、どこかのロビー
小さな受付カウンターみたいのがあった
奥に行くのかと思ったら
その横にある、扉の取れてる出入口
非難口って書かれてるトコから
また曲がる
――― そんな繰り返しで
どんどん道は進んで行って
多分、私ひとりで、
元来た道には戻れないかもしれないなと
少し、首をすくめた
「 …… 迷いそうだね 」
私が周りを見回しながら
ぼんやりそんな事を言うと
後ろを歩いている彼が、声をかけてくれた
「 平気だよ ルウがいるから 」
「 …え ルウちゃん
もしかしてここの道とか
全部、覚えてるの? 」
「 うん! 」
人をホッとさせる様な顔が私を見て
ふにゃりと、柔らかく笑う ―――