東京+ラブクラフト









そんな居住区っぽい場所を抜けると
周囲が急に、薄暗くなる







―――― 風で ギシギシと鳴る看板



ほとんどが割れてて
そこに何があったのかはわからない






誘導されるままに
後をついて行く







―――― 次に入ったのはビルの中





一階の窓ガラスは、キレイに全部無くて
多分元は、どこかのロビー

小さな受付カウンターみたいのがあった






奥に行くのかと思ったら
その横にある、扉の取れてる出入口

非難口って書かれてるトコから
また曲がる






――― そんな繰り返しで
どんどん道は進んで行って


多分、私ひとりで、
元来た道には戻れないかもしれないなと
少し、首をすくめた








「 …… 迷いそうだね 」







私が周りを見回しながら
ぼんやりそんな事を言うと
後ろを歩いている彼が、声をかけてくれた






「 平気だよ ルウがいるから 」






「 …え ルウちゃん

もしかしてここの道とか
全部、覚えてるの? 」





「 うん! 」






人をホッとさせる様な顔が私を見て
ふにゃりと、柔らかく笑う ―――








< 41 / 369 >

この作品をシェア

pagetop