東京+ラブクラフト
背後から突然声をかけて来た
今度は男子
私とあまり年、変わらないかもしれない
茶髪にしてて、Tシャツにスウェット
袋麺を両手に持ち
かなり真剣に聞いて来る
「 … じ、じゃあ ミソ! 」
「 ん 」
ニコリともしないで、ドスドスと
また後ろに戻って行く
だけど格子硝子の向こうで
すぐに何か、カチャカチャ作ってる音
台所は 彼のいる方にあるらしい
「 気にしないでね〜 」
「 え!! 」
「 アイツが無愛想なのは、フツーの事だから
特に今日は〜
職場でヤな事、あったみたいでさ 」
「 ――… もう、働いてるんだ 」
「 そうね〜
ユタカは家出して来たのよ
… ここにいる他のヤツらも
そんなのばっかだけどね 」
「 他のヤツら? 」
「 うんうん
今、皆ちょっと出てるけど〜
――― あ、帰って来たかな? 」
ミコさんの言葉と同時に
ドヤドヤと、玄関で音
腰を浮かせたハルトさんと一緒に
私もそっちを振り返った