東京+ラブクラフト
「 ――――…っ?! 」
部屋を出た途端に
ドヤドヤと廊下を歩いて来た
黒い背広の軍団
ぶつかりそうになって驚き
持っていたファイルを
全て床にぶちまけてしまった
「 すっ!すみません! 」
「 それで、ガイシャは?! 」
「 …は、自宅の方へ回れ! 」
「 はい!わかりました! 」
――― それは、捜査一課の刑事たち
いわゆる "捜査の花形"だ
あの様子だと、大きな事件が起こって
現場に向かう最中だろう
私の事も、床に舞った紙の事も
全く眼中にないらしい
… あまり好きじゃないタイトスカートと
未だに慣れないパンプスの足
ため息を吐きながらしゃがみ込み
ファックス用紙を拾う
「 ―――…… 」
かき集めた紙
その一枚に貼付けられた
顔写真を見た時 ―――
私は自分自身
ビクリと、体中が跳ねたのがわかった
「 ―――… "佐伯 リツコ…? 」
「 どうした? 箱森 」