東京+ラブクラフト
クーラーの、よく効いた喫茶店
道を見渡せる窓際
席ひとつのエリアが広く
ベビーカーを入れるのに結構楽なのだと
アイスティーを飲みながら
綾香ちゃんが、肩を回しつつ言う
「 マジで婦人警官なっちゃったんだー 」
「 うん 綾香ちゃんこそ
結婚してるなんて思わなかったよ 」
「 私だってそうよー
"永遠のお姫様なの!"って
ずーっと思ってたんだけどぉ
―――… 王子様に、
出会っちゃったのよねえ 」
「 幸せそうだなあ!
どこで知り合ったの?! 王子様に! 」
すると綾香ちゃんは
コソリと私の耳に、口を寄せた
「 合・コ・ン
… 築十五年の
"コーポ・白亜"って名前のお城で
毎日優雅に、安売り探して
詩集ならぬ広告に
目、血走らせてまっす 」
綾香ちゃんが、
ちょっと眉を上げて笑って
私もその表現に、吹き出してしまう
――――― 思わぬ再会
それはとても、嬉しい出来事だったけど
私の心は、まだあの頃に
飛んで行っているままだった