東京+ラブクラフト
「 "御簾を隔てて高座を覗く"
気になる人が
その向こうにいるのに ――――
物事が思うようにならず
もどかしいって例えなんだけど
"靴を隔ててかゆきをかく"とも言うね
平安貴族の様に
顔の見えないあの人を想像して
恋文を送り、切ない夜を過ごす
雅でいいと、俺は思うよ 」
「 ―――… 」
「 だけど、
すぐに会ってしまうのは不粋だし
―――― そしてそんな時代には
人に化けた魑魅魍魎も増える
平安京の夜の街を
百鬼夜行が、練り歩いた様にね 」
「 百鬼、夜行 …―――― 」
「 少し、出て来るから着替える 」
「 え …はっ はい!! 」