触れないキス
「どうしたの!? こんな時間に」
「立花さん! ねぇお願い……教えてほしいことがあるの!」
8年前のあの日、柚くんに会いに来た時のように必死に懇願する私を見て、立花さんはただ事じゃないと思ったんだろう。
「……わかったわ。わかったから、少し落ち着いて話しましょう?」
そう言って、私を待合室の隅の椅子に座るように促した。
立花さんは椅子に座らずに、私の前にしゃがんで顔を見上げる。
話を聞いてくれる時にこうしてくれるのは昔から変わらなくて、なんだか安心するんだ。
ようやく息が整って落ち着いたところで、私は単刀直入に切り出した。
「立花さん……本当のこと言って?」
「本当のこと?」
「8年前、柚くんは……本当に退院したの?」
その時、立花さんの表情が一瞬で強張ったのがはっきりと分かった。
戸惑うように目を伏せる立花さんを、私はじっと見つめる。
そして何かを決心したように、立花さんはふっと顔を上げた。
「ごめんね、瑛菜ちゃん。実はね──」
「立花さん! ねぇお願い……教えてほしいことがあるの!」
8年前のあの日、柚くんに会いに来た時のように必死に懇願する私を見て、立花さんはただ事じゃないと思ったんだろう。
「……わかったわ。わかったから、少し落ち着いて話しましょう?」
そう言って、私を待合室の隅の椅子に座るように促した。
立花さんは椅子に座らずに、私の前にしゃがんで顔を見上げる。
話を聞いてくれる時にこうしてくれるのは昔から変わらなくて、なんだか安心するんだ。
ようやく息が整って落ち着いたところで、私は単刀直入に切り出した。
「立花さん……本当のこと言って?」
「本当のこと?」
「8年前、柚くんは……本当に退院したの?」
その時、立花さんの表情が一瞬で強張ったのがはっきりと分かった。
戸惑うように目を伏せる立花さんを、私はじっと見つめる。
そして何かを決心したように、立花さんはふっと顔を上げた。
「ごめんね、瑛菜ちゃん。実はね──」