触れないキス
いつまでも、愛しい人
どこまでも続く、澄みきった青い空。
薄い雲の隙間から、柔らかな日差しが降り注ぐ。
それはまるで、新しい道を歩み始める私達を祝福するかのように。
「もー凛はいつまで泣いてるの」
「だってぇ……あのイケメン副担ともう会えないと思うと~!」
「この団子! 俺が隣にいながらよくそんなこと言えるな!」
卒業式の後、卒業証書を片手に並んで歩く私達。
この思い出がたくさん詰まった廊下を、三人でわいわいと歩くのも今日が最後だ。
凛は桜太くんと付き合ってから、ちょっぴり泣き虫になった気がする。
まぁ、裏を返せば素直になったってことかな。
桜太くんはなんだか嫉妬深くなって、相変わらずケンカばっかりしてる二人だけれど、確実に愛は深まってると思う。
私は美術系の学科がある短大へ進学する。
凛は専門学校、桜太くんは大学。
それぞれが別々の道へ進むけれど、きっと私達の関係はこれからもずっと変わらないはず。