触れないキス
未来の暗示
その翌日から、私はそらと会わなくなった。
文化祭が間近に迫り、放課後はクラスの出し物の準備に追われる日々。
美術室もどこかの部活で使うらしく、文化祭が終わるまではきっとそらもいないだろう。
寂しいけど、これでいいんだ。
ここのところ色々考え過ぎて疲れちゃったし、恋愛は少しお休みしよう。
でも、柚くんのことをずっと忘れられなかった私が、簡単にそらへの想いを風化させることなんて出来そうにない。
私って、本当にしつこい女なんだなぁ……。
「……な? ……おい、瑛菜!」
「へっ?」
考え込みながら自嘲気味に笑いをこぼしていると、桜太くんの声が耳に届いた。
「ボケッとしてるけど大丈夫か?コレ」
「あ゙っ!!」
しまった!!
我に返った私は、目の前にいる桜太くんの顔を見て唖然とする。
「どう~瑛菜? 桜太の女装は……ぶっ! あっははははは!!」
そこへやってきた凛は、のけ反るほどの大爆笑。
「何このメイク!? 殺人的に面白いんだけど!」
「はぁ!? 何どーなってんの!? 鏡見せろ、瑛菜!」
「ごごごごごめん……っ!!」