触れないキス
隠れた想いはどこへ行く
「それじゃーWKB大盛況を祝して、乾杯!」
「「カンパーイ!!」」
「みんなお疲れ~」
文化祭二日目。
一般公開終了後の片付けもままならない教室で、紙コップに注がれたジュースを片手に盛り上がる私達。
他のクラスでも同じように軽い打ち上げをしてる。
「桜太くんもお疲れ様! 女装すごい人気だったね~」
「喜んでいいんだかなんだかな……」
複雑そうに苦笑いする桜太くんだけど、かなりの人気だったことは確かだ。
おかげでこの二日間は、凛のご機嫌取りで私は大変だったんだから。
教室内は装飾がまだ残っていて全員が入るには狭く、私は遠慮して廊下に出た。
窓際の手摺りに寄り掛かり、盛り上がる皆を微笑ましく眺めながらジュースを飲む。
──結局、文化祭中もそらに会うことはなかった。
会わない方がいいし、会う意味もないとわかっていても、どうしても恋しさが募ってしまう。
こうやってそらのことばかり考えていても、もうどうしようもないのに。