やっぱり、好きだ。
・・・赴任されてきた??
そっか、私どう見たって新人には見えんわなぁ。
「私は・・・」
喋りだした途端、
「僕は安田涼って言います」
朝倉さんの隣に腰を掛けていた男の子が突然立ち上がり、私の話を遮った。
・・・どのタイミングで喋りだしているんだよ、安田。
「俺は、あ、僕は・・・私は??」
人の話の腰を折っておいて、出だしで躓く安田。
「何でもいいよ。別に」
呆れはしたが、やはり若さって魔法だと思う。
多少アホでもかわいく見えてしまい、『フッ』と思わず息を漏らし笑ってしまった。
「世界史担当です。安田涼です」
安田涼、2回目ですけど・・・。
「クックックッ」
ヤバイ。ツボ。何なんだ、安田。 最早肩を揺らせて笑ってしまう。
しかし、朝倉先生にはハマらず、私にだけハマる。
自覚はある。 私は他人より笑いのストライクゾーンが広い。
笑いを飲み込み自己紹介をしようとした時、ゾロゾロと教師陣が出勤して来た。
その教師陣の中に見覚えのある顔があった。