やっぱり、好きだ。
時間の忘れモノ
――――青山くんだ。
自分を見つめる私の視線に気づいたのか、こっちを見た青山くんと一瞬目が合った気がしたが、彼は何も言わず自分のデスクへ座った。
向こうは私に気付いていないのかもしれない。青山くんは相変わらずかっこいいけれど、私は自然の摂理に抗わず、きっちり7才歳をとり、普通のアラサーになっているもんな。
『はぁ』小さい溜息を吐いていると、
「あ、あの先生かっこいい」
近くにいた朝倉先生の視線が、明らかに青山くんの方を向いているのに気が付いた。
朝倉先生の声が教頭先生にも聞こえたのか、
「青山先生はダメですよー。生徒にたちには秘密ですが、音楽担当の桜井先生とお付き合いしてますから」
教頭先生がいたずらっぽく人差指を口に当てながら、私たちの方にやってきた。
そんな教頭先生の言葉に、後ろの方で女性がクスクス笑っていた。多分、あの人が『桜井先生』なのだろう。優しそうで、とても綺麗な人だなぁ。