やっぱり、好きだ。




 「私のアパートここなので」

 無事に泣く事もなく、アパートに到着。青山くんに軽く会釈をすると、

 「俺はさっき通り過ぎた茶色いマンションの5階。近いから何かあったらいつでも言って。じゃあ、おやすみ」

 青山くんは私の頭をポンポンと撫で、軽く手を振るとクルっと身体の向きを変えて今来た道を戻って行った。

 ・・・さっき通り過ぎた??

 青山くん、わざわざ送ってくれたんだ・・・。

 「お・・・送ってくれて、ありがとうございました!! おやすみなさい!!」

 少し離れてしまった青山くんに大きな声でお礼を言うと、

 「声デカイから。近所迷惑。風邪引くから早く部屋入れって」

 青山くんは振り返って困り顔で笑うと、もう一度軽く手を振ってくれた。

 私も青山くんに手を振り返し、青山くんの後ろ姿を暫く眺めて部屋に入った。
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