噴水広場
「…まったく空想癖はあるくせに、いざとなると頭が堅いんだから」

「そうだとしても、もう僕にとって彼女は想い出の中の女性だ」

「…寂しいこと言うね。やっぱ新しい彼女が出来ると前の彼女は邪魔だもんね」

「誰の悪戯か知らないが帰らせてもらう。美智子は死んだ。彼女はもうこの世にはいない。それが僕が知っている事実だ」

僕はすっかり興奮してやや怒鳴るように言い返した。

そしてとにかくここから立ち去りたかった。

「私と会っても何ともないんでしょ? 私がどんな気持ちで会いに来たかなんてわかってないでしょ?」

その言葉はたとえ冗談だとしても僕は許せなかった。

「ふざけるのはよせ!」
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