噴水広場
だんだんと涙声になるのが自分でもわかった。

彼女が死んで、それからいやなほど泣いて、涙なんてもうなくなってると思ってた。

「良一…」

「なんで死んだんだよ…」

「…好き」

「俺だって…あんなに人を好きになったことなかった…」

僕は彼女を抱きしめた。

何も変わっていなかった。

髪の香りも、頬のエクボも、うなじのほくろも。

柔らかくて小さな彼女を

僕はまるで見つかった捜し物を離さぬようにきつく抱きしめた。
< 14 / 34 >

この作品をシェア

pagetop