噴水広場
女性のようだった。

その愛くるしい振る舞いとスラップスティックな動きは、すぐに人々を暖かな空気に包んだ。

やがてピエロは観客席の中に入り、そして僕の方へやってきた。ピエロは僕の前で止まった。

僕は年甲斐もなく何か嬉しくなってしまい、ピエロが僕と何をするのかワクワクしてしまった。

しかしピエロがしたことは、僕の常識外のことだった。

「良一」

「はっ?」

突然そのピエロは僕の名前を呼んだ。

「良一」

「…なんで私の名前を知ってるんで…あっ!」
< 6 / 34 >

この作品をシェア

pagetop