噴水広場
私はピエロの顔を見た。

そして思わず立ち上がって大声で叫んでしまった。

するとピエロは私の口の中をのぞき込み、そこからいくつも繋がっている万国旗を引っぱり出した。

大きな拍手がテント内に響きわたり、BGMがそれに拍車をかけた。

そして最後の一枚の旗を私に手渡して、ピエロはステージに戻り、観客にこたえて、消えていった。

僕はすっかり訳がわからず、とりあえず腰をおろし、手渡された旗に目をやった。

そこにはみなれた筆跡であった。

(公演終了後、緑地公園噴水前で待っています)


間違いない。



あのピエロは2年前に交通事故で死んだ僕の恋人、美智子だ。
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