君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
無我夢中、だったのだと思う。
どうこう行動していた、とはっきりと記憶に残る様になった頃には、だらん、とリビングのソファーから投げ出した左腕、掌で掴んでいた便箋の二枚目が、カサリと音を立てて、フローリングの床に滑り落ちた。
「黒雅 夜」
便箋の上に存在する、最後の文字。
どんなに忘れようと決心しても、忘れる事が出来なかった名前。
彼の居ない数ヶ月。
二人で過ごした毎日は、いっそ夢なのではと、幻なのではと、疑いさえした数ヶ月。
消えかけていた希望が、彼と過ごした過去が、今、私の中で息を吹き返した。
どうこう行動していた、とはっきりと記憶に残る様になった頃には、だらん、とリビングのソファーから投げ出した左腕、掌で掴んでいた便箋の二枚目が、カサリと音を立てて、フローリングの床に滑り落ちた。
「黒雅 夜」
便箋の上に存在する、最後の文字。
どんなに忘れようと決心しても、忘れる事が出来なかった名前。
彼の居ない数ヶ月。
二人で過ごした毎日は、いっそ夢なのではと、幻なのではと、疑いさえした数ヶ月。
消えかけていた希望が、彼と過ごした過去が、今、私の中で息を吹き返した。