君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
この空の下、二度と届かなくても、二度と会えなくても、必ず繰り返す鼓動が在る。
今ここで繰り返す私の鼓動は、あの夏の夜、夜くんが選んでくれた鼓動だ。
あの日の決断を、私は抱き締めながら今日も生きている。
終わりを欲した彼が、選んだこの決断は
、一瞬、一瞬の命の歓びを刻む。
これは恐らく、彼が残した私への、最後の愛情だったのだろう。
会えなくなってしまっても、夜くんはどこかで生きて、また、ここで生きているこの命を慈しみ、手の届かないどこかで
愛を謳う。
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