君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
「コラ、輪廻。
相手が誰かも確認しないで開けるなんて、イケナイ子だね。無防備すぎるだろう?」

困ったように笑い、私の頭をポンポンと撫でる人。

黒雅 夜(クロガ ヨル)。

「夜」を連想させない陽光のような笑顔と、「夜」をしっかりと連想させる不敵な笑み、そのどちらもピタリと収まる端整なルックス、低すぎない穏やかな声、
包容力のある性格と、セクシーささえ醸し出す細く長い指。

神の最高傑作だと謳われたならば、容易く納得はするけれど、こんな風な人間がこの世に存在するなんて、私はまだ受け入れられていない。
同じ人間かと思うくらい、私はいつも夜くんをマジマジと観察してしまう。
そして自分の容姿に落ち込む。私ももう少し綺麗だったら良かったのに。
夜くんの隣に並んで歩くのは、ちょっとした拷問だ。
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