君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
いくら陽が落ち始めたとはいえ、外はやっぱり暑かった。
湿気が体中にまとわりついて、息苦しささえ感じる程だ。
背中にジワリと汗が滲むのを感じ、早く涼しいであろう店内に入りたいけれど、急げば一層体は暑くなる。
たった五分ちょっとの距離をジレンマと戦いながら、気持ちだけでバイト先へと急いだ。
歩きながら、自転車に乗らなかった事を後悔した。
従業員専用の入り口から入って、バッグルームに入ると、先輩の美神 弥生(ミカミ ヤヨイ)さんが、ちょうど休憩中だった。
「あ、美神さん。お疲れ様です。すみません、休憩中に…。」
美神さんは食べていたおにぎりをゴクンと飲み込んで、笑いながら言った。
「いいの、いいの。ツッキー、どうしたの?今日出勤じゃないよね?」
「えっと…。」
考えてきた言い訳を伝えようと言いかけた時、バッグルームのドアが開いて、藤原さんが入ってきた。
「あれ、月城さん、どうしたの。」
「あー…、ちょっと忘れ物です。」
藤原さんはエプロンを外している。
ちょうど上がりの時間だったみたいだ。タイミング良かったなぁなんて思いながらも、私の心臓がドクン、となるのが分かった。
これではまるで、告白をする前の女子みたいじゃないか。
「えーっと…、昨日ちょっと忘れ物をしちゃって、今日必要な物だったから…、それよりも美神さん、『ツッキー』っていい加減、やめてくださいよー。間抜けっぽいじゃないですか。」
早口に言い訳をしながら、それもまた悟られない様に、付け足した。
言われた美神さんはやれやれといった顔をしながら、言う。
「いいじゃない。可愛いわよ、『ツッキー』。仲良くやりましょうよ。
ねぇ、ハルちゃんっ。」
「ハルちゃん」といきなり話題をフラれた「ハルちゃん」…藤原さんは、これ見よがしに溜息をついてから、飲んでいた麦茶のペットボトルをテーブルに置いた。
「弥生ちゃん。その呼び方も、やめる気ないんだね。」
「止めないわよ。私が気に入っているんだから。」
藤原さんと美神さんは同期だ。
二人の掛け合いはいつも場を和ませる。
私も二人のやりとりを見ているのは嫌いじゃない。
湿気が体中にまとわりついて、息苦しささえ感じる程だ。
背中にジワリと汗が滲むのを感じ、早く涼しいであろう店内に入りたいけれど、急げば一層体は暑くなる。
たった五分ちょっとの距離をジレンマと戦いながら、気持ちだけでバイト先へと急いだ。
歩きながら、自転車に乗らなかった事を後悔した。
従業員専用の入り口から入って、バッグルームに入ると、先輩の美神 弥生(ミカミ ヤヨイ)さんが、ちょうど休憩中だった。
「あ、美神さん。お疲れ様です。すみません、休憩中に…。」
美神さんは食べていたおにぎりをゴクンと飲み込んで、笑いながら言った。
「いいの、いいの。ツッキー、どうしたの?今日出勤じゃないよね?」
「えっと…。」
考えてきた言い訳を伝えようと言いかけた時、バッグルームのドアが開いて、藤原さんが入ってきた。
「あれ、月城さん、どうしたの。」
「あー…、ちょっと忘れ物です。」
藤原さんはエプロンを外している。
ちょうど上がりの時間だったみたいだ。タイミング良かったなぁなんて思いながらも、私の心臓がドクン、となるのが分かった。
これではまるで、告白をする前の女子みたいじゃないか。
「えーっと…、昨日ちょっと忘れ物をしちゃって、今日必要な物だったから…、それよりも美神さん、『ツッキー』っていい加減、やめてくださいよー。間抜けっぽいじゃないですか。」
早口に言い訳をしながら、それもまた悟られない様に、付け足した。
言われた美神さんはやれやれといった顔をしながら、言う。
「いいじゃない。可愛いわよ、『ツッキー』。仲良くやりましょうよ。
ねぇ、ハルちゃんっ。」
「ハルちゃん」といきなり話題をフラれた「ハルちゃん」…藤原さんは、これ見よがしに溜息をついてから、飲んでいた麦茶のペットボトルをテーブルに置いた。
「弥生ちゃん。その呼び方も、やめる気ないんだね。」
「止めないわよ。私が気に入っているんだから。」
藤原さんと美神さんは同期だ。
二人の掛け合いはいつも場を和ませる。
私も二人のやりとりを見ているのは嫌いじゃない。