君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
「ちょっ…!ダメですよ!こんな所で。」

慌てて後退すると、クスリと笑う人がいた。

「冗談。期待しちゃった?」

…訂正します。
こんな意地悪、愛じゃないっ。

目眩の様なものを感じて、蒸し暑いせいだろうと思ったけれど、本当はそうじゃない事も分かっていた。
夜くんはいつもいつも、私だけを戸惑わせてからかって、涼しげな顔で笑っている。
私より大人だからって、余裕があるのかもしれないけれど、子供扱いされるのはやっぱり悔しい。
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