君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
リビングに戻れば開け放した窓から入り込む生温い風に顔をしかめるイケメンが居た。
私の部屋に通そうかとも思ったけれど、狭い部屋よりはリビングの方がマシな気がした。

「何?」
夜くんが眉間を寄せたまま少し掠れた声を出す。

「ううん。本当に、美しいな、と。」

「それは…いつもの、俺を誉めてくれている、アレ?
それならいつも言っているだろう?
どんな形で産まれ堕ちようが、君が居なきゃ何の意味も無い。
君が居て、ここに俺が居る意味が在る。
本当に素晴らしいのは、君自身だって早く気付くべきだよ。」

私という存在をこうも絶賛するなんて
つくづく奇跡の人だ。
至って普通、特別に美しくも無く、ましてや夜くんには不釣り合いだ。
自分ではよく分かっていても、私を繰り返し絶賛する彼は、少し変わり者なのかもしれない。
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