スーパーニート★パラダイス
それはまるで本当に精神だけが別世界に飛んで行ってしまったかの様に、ほんの少しも動かずに、前のめりの姿勢でベンチに座りながら、原稿用紙を凝視していた。
その様を見て咲花は嬉しくなる。
手塩をかけて作った御馳走を美味しいと言って子供が平らげてくれた時の母親の気持ちは、こんな物なのだろうかと咲花は考えた。
「……あれ?」
現実に帰ってきた多喜也が呟いた。
手元には左手に既読の原稿用紙、右手には最後の一ページ。
「この原稿、途中で終わってるんだけど。互いの国の暗殺者が地下道で闘って……その続きは?」