スーパーニート★パラダイス

涙が、頬を伝った。

「前からずっと思ってたんだ…。この玄関、段差が高いって。玄関からアンタを見るとまるで私は……舞台を見ている観客みたいッ」

そう言い残すと理衣奈と呼ばれた彼女は、今度こそバッグを手に持ち、勢い良く引き戸を開けて出て行った。




トランクを閉める音。

数秒するとエンジンの音が響き、そしてその音も次第に遠のいていき、後にはこの世に誰も存在していないかの様な沈黙だけが残された。
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