春爛漫
我が友人ながら、お前は悪魔だよ…
それでも、男達は諦めずにしつこく付きまとう。
ダメだぞ、このままだとヤツの元についてしまう。
「かれん?」
その一言で、間宮かれんの死んでいた表情が明るく笑みを浮かべた。
その一言で、野獣たちの浮かれていた表情が一瞬にして青ざめた。
私たち一行の目の前に立ちはだかっていたのは、この学園で一番関わってはいけない悪魔…。
小早川 刹那。
私たちの二つ上の先輩。
そして、カレンの彼氏ー。
「こっ、小早川さん!」
誰かがそう言うと刹那はただでさえ怖い目をさらに吊り上げて睨みつける。
男たちは悲鳴を上げながらその場にへたり込む人や、逃げ出す人がちらほら。
そんな中、カレンは刹那に飛びよった。
「刹那!」
頬を赤く染め上げ嬉しそうに彼の元に寄るカレンを遠くで見ている私。
「カレン。お前は目を放すとすぐに男に言い寄られるんだな」
「知らない!あっちが勝手にくるんだもの」
カレンはそう言うと彼の腕に抱きつきすり寄っていた。
「なんだ、死神もいたのかよ」
刹那の口から出た”死神”
それは、私の異名。
「少しは、その汚い口を閉じたらどうなんですか?先輩」
私は睨みつける刹那の瞳に臆することなくとげとげしい言葉を吐く。
「ふん、相変わらずだな。まあ、せいぜいカレンを守るんだな」