DARK HERO 処刑人&闇医者
「…お、終わったか」


マンションを出ると、血だらけの樫原が待機していた。

毎度ウゼェ位高い再生能力を駆使して生き返る。



「管理人が警察に通報している。早いとこ行かねぇと面倒だぞ。…顔は、見られてないんだろ?」

「……………」



そう、顔が見られちまえば生活しにくい。

俺はいつも、黒い面をつけている。

樫原が用意した、スマイリーとかいう笑った顔をした仮面。

イタリアではハットで隠してたけどな、日本ではこの仮面の方がウケが良いらしい。



「もうとっくに見付かってるんじゃねーか?」

「うるせぇ、早く車を出せ」



乗り込みながら樫原の肩にナイフを投げた。

悲鳴が聞こえたが、すぐに奴も運転席に座ってナイフを返してきた。


「お前…言ってる事とやってる事、矛盾してんぞ…」

「出せ」

「くっそ…帰ったら覚えてろよ…」


パトカーが近付いてきた。

樫原は肩の刺傷を再生させながらエンジンをかける。


闇に溶け込む筈の黒いバンも、昼間のように明るい街中では無意味に等しい迷彩車だ。



「なんの悪魔だった?」

「強欲だ、人間になりたいだとよ」

「そりゃあ無理な話だな、俺達はどう足掻いてもヒトにはなれねぇわ」

「死ねば強制的に魔界へ逝く。今頃は歓迎されてんだろ」

「俺は完全に死ぬ事がねぇからな…魔界がどんなもんかは知らねーけど、ま…愉しい所じゃねぇことはわかるぜ」

「……まぁな」



完全に治った肩の傷を見て、俺は適当に相槌を打った。
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