DARK HERO 処刑人&闇医者
Mi piace la tua violenza
~樫原亮平視点~



街中の、適当に配置されたバーの更に真下に、俺達の家がある。

まぁ、俺の場合は仕事場でもある。

手術室もあるしな…闇医者ってのはあまり大っぴらに活動できない。

けど、たまに訪れるワケありの患者はその分たんまりと大金を出す。

俺達の生活資金はそこから手にはいってる。


大金が手に入ったからといって、どっかの金持ちみたく贅沢はしねぇ。

一般市民と同じような暮らしでやりくりしてる。

朝は優雅に高級な紅茶を楽しんだり、豪華な食事を食べるなんざもっての他。

普通の飯、二人が生活する分の家財、あ…テレビはこの間新しいのを買ったな。

まぁ、普通の地デジ対応液晶テレビだけど。

むしろ、金を使うのは意外にも服代なんだよ。


「おい、樫原。ヤらせろ」

「……勘弁しろよ、昂ってんのか」


こいつは本当に殺戮魔だ、俺が不死身だからって隙あらば殺ろうとしてくる。

そのせいでいつも俺のスーツはレイプよろしくズタボロだ。

血だらけで泥まみれで引き裂かれて…可哀想な俺のスーツ。



「待てって、今服脱ぐから」

「脱ぐな、脱ぐ必要がどこにある」

「お前、いっつも俺はスーツ買い直してるんだよ。いい加減スーツの買い置きしないで済むようにしてくれよ」

「俺が知った事か、もういい殺る」

「あ、ちょ、待っ…」



視界からリッキーが消えたと思えば、鈍痛が俺の鳩尾を襲った。



「…アッサリ逝くなよ、つまんねーだろ」




…この、野郎…。
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