心―アナタノモノガタリ―
巡った、歴史は巡った。
“D-Day”がやってきたのは、今からちょうど5年前のことだった。
人々はその日、恐怖にのまれながら、死の淵に追いやられた。
真実を知ることになったのは、皮肉にも生き延びた能力者達。
しかし、彼らもなす術なく、世界が光を失うのをただ見ていることしかできなかった。
“D-Day”とは、“歌姫”と“ゼロ部隊”出現の日。
“歌姫”とは、華麗な少女の姿と蒼いドレスを身にまとう、悪魔。
絶叫にも似たその歌声で、人々をドレイ化し、ドレイを活性化させる。
その歌声は、悲しみ・苦しみ・痛み…負の全てを纏う。
彼女は今も、人々に恐怖を与え続ける。
“ゼロ部隊”とは、ドレイではなく人の形をしながらも、不死身の部隊。
外見は人間に見えても、その身体は既に人と同じものではない。
急所を撃っても、腕が千切れても、彼らは死を知らない。
ドレイから得た力と人類の生み出した兵器で、殺戮を繰り返す。
彼らは今も、人々に絶望を与え続ける。
“歌姫”と“ゼロ部隊”が現れ、世界は完全に闇に覆われた。
能力者たちのほとんどが残虐に殺されるか、ドレイ化した。
そして、源となる光のクリスタルは失われ…。
人々の希望は去ったかのように思われた。