家元の花嫁【加筆修正中】
「とりあえず、家に行くから」
「家って、誰の………ですか?」
「…………キミの………家?」
へ?
私の家?
って、あの……おんぼろアパートに??
えっ、何でウチなの?
ってか、場所知ってるの??
大パニックに陥った私は、
軽やかに車を発進させた彼の横顔をジッと見つめていた。
そもそも、何で玲のお兄さんでなくてこの人なの?
あっ、もしかして、この人がお金を立て替えてくれるとか?
どうしよう、何て聞いたらいいの?
私は何て声を掛けていいのか分からず、ただただジッと見つめていた。
彼は無言でハンドルを握っている。
私がこのまま黙っていてはダメなんじゃない?
とりあえず、どういう話の流れになっているのかくらい聞いてもいいよね?
私は意を決して、声を掛けた。
「あっ………のぅ………?」
「ん?………あっ、そうだよな。えーっと、圭介さんからは『家賃が払えなくて、アパートを追い出される寸前。そんでもって、父親が失踪して困ってる』って、聞いたんだけど合ってる?」
「…………はい、合ってます」