家元の花嫁【加筆修正中】
「もう、いいです。どうせ…取れないもん。」
「ゴメンって!!ゆの、怒った?」
俺はそっぽを向いたゆのの肩に手をかけた。
「ヤッタ―!!取れた…キャッ。」
俺が気を緩めた瞬間、おみくじを奪い取られた。
しかし、ゆのはバランスを崩して…俺の方に倒れて来た。
俺はすかさず、ゆのを受け止め…抱きしめた。
「大丈夫か?ケガは?」
「………大丈夫です。ごめんなさい」
「ケガしてないなら、いい…。」
俺はどさくさに紛れて、おみくじを奪い返し、ポケットに入れた。
「そろそろ、参拝に行こうか?」
「はい。」
ゆのはすっかり、しおらしくなった。
さっき、はしゃいだのを反省している様子。
「そんな、暗い顔すんな?俺は気にしてないから。」
「…………はい。」
俺はゆのの手を握って、本殿へと向かった。