家元の花嫁【加筆修正中】
向かう途中で、除夜の鐘を聴いて新年を迎えた。
「明けまして、おめでとう。今年もヨロシクな?」
「明けまして、おめでとうございます。こちらこそ、宜しくお願いします」
ゆのは嬉しそうに微笑んだ。
「そんなに嬉しいか?」
「はいっ!私、初詣は初めてなんです。1人で年越すことが多かったし、いつもは今頃、夢の中でしたから。」
「そうかぁ…。じゃあ、これからは毎年……」
俺は、言いかけて途中で止めた。
だって、その先を言ったら…ゆのに結婚を押し付けることになる。
「えっと……、隼斗さん…」
「ん?」
俺は何もなかったかのように…聞き返した。
「隼斗さんがお嫌でなければ、今年の大みそかも一緒に過ごせたら…いいですね?」
「えっ?それって……」
「はいっ?私、何か変なコト言いましたか?」
ゆのは自分が言った意味がわからねぇのか?
まぁ、恋人同士っていう選択肢もなくはねぇが…。
「…そうだな…」
俺は笑って誤魔化した。