家元の花嫁【加筆修正中】
過去≪隼斗の巻≫
俺は初釜(新年初めのお茶点て)を済ませ、一門の人達と片づけを始めた。
来客の人も、家元と話をしているご夫婦のみ。
ふぅー。やっと、一息つけるな…。
それにしても、母さんとゆのは何処にいるんだ?
さっきから、全然姿を見かけないが…。
俺は片づけを弟子たちに頼み、柳幻荘内を探した。
ん?何処にもいないぞ?
弟子の1人に声を掛けた。
「母さん、見なかった?」
「奥様でしたら、先ほど庭の方へ行かれましたが…」
「ゆのもいたか?」
「いえ、奥様だけのようでしたが…」
「ありがとう……」
おいっ、じゃあ…ゆのは何処にいるんだ?
母さんと一緒じゃないなら、何処だ?
父さんはあそこにいるし…。
俺は小走りに廊下を横切った。