家元の花嫁【加筆修正中】
実際、女に好かれる努力をしたことが無い。
女なんて、黙ってても寄って来てたし。
機嫌を取らなくても、愛想を振りまく女ばかり。
まさか、この俺が…
女の機嫌を伺う日が来るとはな…。
朝、廊下ですれ違う時がある。
俺はゆのに“おはよう”って声を掛けるのに、ゆのは俺の目を…いや、顔すら見ようとしない。
完全に嫌われたらしい。
初釜の時は必死に取り繕ったけど。
やっぱり、あれだけじゃ…伝わらねぇかぁ…。
「どうするの?」
「どうするって?」
今さら、どうするもこうするもねぇだろ。
「まさか、諦めた訳じゃないわよね?」
「…………わかんねぇ」
実際、何をどうしたらいいのか分からない。
ゆのが嫌う理由は沢山あるし。
はぁ、マジで頭痛ぇ。