家元の花嫁【加筆修正中】
「よかったねぇ。ゆのにしちゃ、頑張ったと思うよ。エライ!」
「うん。玲に教わったこと、少しずつだけど頑張ってるもん」
……そう。以前に玲から教わった“相手に気持ちを伝える方法”
初詣の時の“ほっぺにチュー”
今回は“もっと”っていう事と“ほんの少し口を開ける”こと。
私的にはかなり勇気を振り絞ったけど、玲の言う通り、少しずつ隼斗さんに近づけてる。
本当に玲は私の女神様だよ。
「で?チョコは上手くいってんの?」
「う~ん、何とか形にはなって来た……かな?」
「ホント、ゆのは料理以外何でもそつなくこなすのに、料理は壊滅的にヤバいもんねぇ」
「それは言わない約束でしょう?」
「ごめん、ごめん。だけど、マジで頑張って食べられる物あげないと…」
「うん。分かってる。だから毎日頑張ってるじゃん」
玲の言う通り、私は勉強もスポーツも普通にこなせる。
だけど、料理に関しては“殺人兵器”と玲にお墨付きを貰うほど。
自分でも自覚してる。
家が貧乏すぎて、材料も調味料も無い生活で料理することがほとんど無かった。
ガスや電気も止められることがしょっちゅう。
だから、バイト先のまかないで食事を済ませることがポリシーだった。