家元の花嫁【加筆修正中】
Valentine Eve≪隼斗の巻≫
「ただいま戻りました」
リビングにいる俺は、ゆのの声を聞いてドアの方を見た。
19時30分過ぎ。
バイトから帰宅したゆの。
「着替えて来ます」
ゆのは俺と目が合うと、部屋に入らず何だかぎこちない感じでドアを閉めて行ってしまった。
今、目が合ったのに……
何か俺に隠し事か?
俺は思わず確かめようと立ち上がる。
「隼斗、もうご飯になるわよ」
「あぁ、わかってる」
母親に返事をして、2階へ。
足早に歩いたのにゆのの姿はもう無い。
そんなに急いで何なんだ?
本当に隠し事か?
俺は不安になり、ゆのの部屋のドアを叩いた。