家元の花嫁【加筆修正中】


そんな緊張するもんか?


どれどれ……中身は何かな?


俺は白い箱を開けた。


「ん!?ケーキか?」


「ブラウニーっていうケーキです」


「ブラウニーって黒くなかったけ?」


「それは…正木さんのアイディアで…」


マサキ!?


おいっ、何でここで奴の名前が出て来るんだ?


あ―――アイツ、パティシエだったな。


だから、アイツのアイディアってことか。


「んで?マサキってヤツにコレ教わったのか?」


「はい……いけませんでしたか?」


俺は“マサキ”って名前で反応してる。


多分、不快な顔をしてるんだろう。


ゆのがビビってる。


「なんで、そいつに教わんねぇとなんねぇの?」


「私……料理…出来ないんです」


ゆのは涙目で俺を見てる。


「出来ないって、本とか見たらいいだろ。つーか、作れないなら買えばいいし、ってか、買うくらいならいらねぇし」


「そう…ですよね…沢山の方からいっぱい貰えますしね。私なんかから…ぅう゛っ…ぼらっでぼ…」


ゆのは泣き出してしまった。


< 239 / 337 >

この作品をシェア

pagetop