家元の花嫁【加筆修正中】
「ごめん、そんなつもりで言ったんじゃなくて…」
「う゛ぅっ………」
あ―――――しまったなぁ。
なんでこうなるんだよ…。
「ゆの、だからごめんって。俺はゆのが俺の為に一生懸命頑張ってくれたのは凄く嬉しい。嬉しいんだけど、他の男に頼るのがいい気しないだけ…」
「だげど…ぅっ……私…ホントに料理出来ないんです…。本当に苦手で…」
「カレーとかチャーハンくらいは出来るだろ?」
「………作れません。リンゴの皮も剥けないもん」
「・・・・・・・」
マジで!?
リンゴの皮って…小学生レベルだろ。
「マジで作れないの?冗談?」
「冗談なんかじゃなくて…。玲には殺人料理って言われてます」
「・・・・・・・」
殺人料理って……。
ゆのは大粒の涙を流し、俯いた。
「ごめん。ゆのがそんなに苦手とは知らずに。でも、何でマサキってヤツなんだ?」
「何でって、パティシエですし。店長に相談したら、新メニュー考える代わりに材料使っていいって…」
そういうことか……。
確かに練習するにしたって材料代はかかるよな?
「それにバイト後に、厨房の隅で器具の使い方から、材料の量り方から教えて貰えて…」