家元の花嫁【加筆修正中】
「失礼します」
一声掛けて襖を開けると―――。
そこには家元夫妻と見知らぬ女性が1人。
そして……私の父親がいた。
「おっ……とうさん!!」
「ゆの…………」
「お帰りなさい。2人とも立ってないで座りなさい」
「ゆのちゃん、バイトご苦労だったね」
私が呆然と立ち尽くしていると、隼斗さんのご両親が声を掛けてくれた。
「ゆの?とりあえず座ろう?」
私はあまりの突然の事で言葉が出ない。
頭が働かず、身体に力が入らない。
隼斗さんに促され、コクッと頷いて…
隼斗さんの隣りに座った。
「ゆのちゃん、突然の事で驚いたと思うけど…」
隼斗さんのお母様は心配そうに顔色を伺いながら…
「実はね…隼斗があなたを連れて来てから、あなたの様子がぎこちなかったって言うか…少し気になってね…。うちの人と相談して家の事を調べさせて貰ったの…」
「…………そうですか」
私は返す言葉がそれしか見つからなかった。
だって、そりゃ…息子が連れて来た女の子が親も紹介せず、いきなり同居を始めたら調べたくもなるよね?
それに…父親は“出張”って言ってたのに、帰る気配すら無く、私はずっと居座ったままだし。