家元の花嫁【加筆修正中】


「では、隼斗。濃茶を…」


「!!……はい」


濃茶……。


(※濃茶とは1杯のお茶を複数の人で1口ずつ戴くお茶のこと)


恐らく、さっきゆのが飲んだのは薄茶。


(※薄茶とは1人分のお茶のこと)


一体、ご隠居は何を試すつもりなんだ?


俺は深呼吸して心を落ち着かせる。


気になることは山のようにある。


けれど、今は心を込めた1杯のお茶を点てる事だけ…。


目を瞑り…心で和敬清寂を唱える。


精神統一して……深呼吸。


全神経を研ぎ澄ませ、心の想いを全て込めて…


俺は1杯の茶を点てた。


茶碗を畳に置くと…ご隠居が一口。


その後…ゆのが一口。


静まり返る茶室が俺を更に緊張させる。


俺の心臓の音が1番大きく響いてる。


ゆのが礼を述べ…


茶碗が畳に置かれた。


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